
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「や、やっぱり嫌ッ――!」
明悪の逸物が秘部に触れた瞬間、幼き日のおぞましい記憶が雨の脳裏に蘇った。
見も知らぬ男性に拉致、監禁され、ひたすらに獣欲をぶつけられた……あの忌まわしき3日間を……。
友の為に身を捧げる覚悟を決めたものの、魂にまで刷り込まれた恐怖心は雨の口を強制的に動かし、男を拒んだ。
「おいおい、ここまで来ておいてそれはないだろぉ、雨ぇ」
「いひッ、いんじゃないかなぁ別に? いいよぉ雨ちゃん、もっと嫌がってごらん? その方が僕も盛り上がるからさッ! ひひッ」
好色な光を宿した明悪の瞳は、数年前のあの男のものと同じだった。
「やめて……御願い――ッ!」
「ダチがどうなってもいいのかよ雨」
「それは……ッ、でも……でも――ッ」
呼び覚まされた悪しき肉の記憶は、雨を混乱させ恐慌状態に陥らせた。
顎は恐怖に震え、カタカトと鳴る歯の擦れあう音は、男達の熱気と溶け合い大気へと消えていく。
気丈に堪えていた涙が頬をつたい、無遠慮に雨の肌を晒していた蛍光灯の光を反射した。
全てを諦めていた女が不意に見せた弱さは、男達の嗜虐心を刺激し、高揚させていく。
痛い程に下腹部に集中していく血の猛りを感じながら、明悪はたまらじと肉棒を押し付けた。
「あぁ……も、もうたまんない――!! い、入れちゃうよぉ!? 入れちゃうよぉ、雨ちゃんッ!!」
亀頭の部分だけを何度も出し入れし、明悪は雨の視線を結合部へと誘導する。
その様子は、さながら自分自身を焦らしているようでもあった。
「いやッ! いやぁぁぁッ――!」
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「ほぉらッ、入っちゃたよー!? 僕のチンポと、雨ちゃんのマンコが愛しあってるよ!? いひひッ」
「く――ッ、うぅ……ッ」
薄ら笑いを浮かべて顔を寄せる明悪からは、その醜い容貌に見合った加齢臭が漂っていた。
つんと鼻をつく異臭に、雨は思わず顔を背ける。
数年ぶりに膣内に侵入したペニスは、あの日の男のものとは違い、歪な形状を感じさせた。
処女同然の狭い膣道は、嫌でも明悪の存在をはっきりと感じ取ってしまう。
自身の中で息づく下卑た男の熱に、雨は思わず鳥肌が立つのを感じた。
「あぁ……雨ちゃんならもしかしてと思ったんだけど、処女じゃぁないみたいだね……」
「マジかよ!? こいつは確か、俺が知っている限り誰とも付き合った事はない筈。
男嫌いで有名だったからな」
「あれれ……となると、雨ちゃんは、どこで誰に処女を捧げちゃったのかな?」
「く……ッ」
言える訳などなかった……。
雨は頑なに口を閉ざし、処女を奪ったあの男の幻影を脳裏から振り払おうとする。
「おい雨ぇ、どうなんだよ? 誰とヤったんだ? 俺の知ってる奴かよ?」
「親父とだったりしてな!」
「さすがにそれはねぇだろ。 なぁ雨、どうなんだよ?」
答えるまで男達は追求を止めないだろう。
父を侮辱された怒りも勿論あったが、それよりも雨は男達に返す言葉を探るのが先決だった。
否。
答えは出ている……。
雨は、自身が嘘をつけない性格である事を熟知してた。
正直に話せば、確実に自分が不利となる状況でも信念を貫く。
雨にとって、そんな自身のバカ正直さは……誇りだった。
ここで、あの忌まわしき日の出来事を話したなら、男達は好奇心を剥き出しにして自分の心を抉るだろう。
だが、それが分かっていても、
嘘をつくという罪を、己を汚そうとしている男によって誘発される屈辱に、
雨はどうしても耐えられなかった。
あの日の出来事を知り、ゲラゲラと笑う男達を想像する。
そんな……何の得にもならない、度を過ぎた生真面目さに……雨は、初めて自己を嫌悪した……。
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雨は蚊のなくような小さな声で、バカ正直に自分の過去を明かした。
そして、全てを語り終えた後、声を押し殺してすすり泣く。
この状況で唯一味方をしてくれる筈だった自分自身さえ、雨は嫌悪して遠ざけてしまったから。
その絶望と孤独に、精神をズタズタに引き裂かれて……。
いじらしく泣く雨の姿に、男達は猛烈な庇護欲を掻き立てられる。
だが、庇護欲とは支配欲と表裏一体。
無論、この場に集まった男達がどちらの欲を満たそうとするかなど話すまでもない。
不意に守ってあげたいと考えた女を滅茶苦茶にするという背徳感に男達は夢中になり、
己の精が枯れ果てるまで、雨を……
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